「警備員の仕事って、ただ立っているだけで楽そう」 「ずっと動かないで何をしているの? 暇じゃないの?」
警備業界の外にいる方から、よくそんな声を耳にします。しかし、実際に制服を着て現場に立つと、その印象は大きく変わるはずです。
実は、警備員の「立っている姿」は、仕事のほんの一部。その裏側では、緻密なスケジュール管理と、人々の安全を守るための「目」と「耳」をフル稼働させています。
今回は、未経験の方が最も気になる「警備員の1日」を、施設警備と交通誘導警備の2つのパターンで徹底シミュレーションします!
1. 施設警備の1日(24時間勤務の場合)
大型ショッピングモールやオフィスビルを守る「施設警備」。ここは「立っているだけ」に見えやすいですが、実はルーチンワークの宝庫です。
【09:00】 交代・朝礼
前夜の当番から引き継ぎを受けます。鍵の数、不審者の有無、設備故障がないかを細かくチェック。警備員にとって、この「情報のバトン」が命です。
【10:00】 開館作業・立哨(りっしょう)
建物の入り口を開放し、お客様を迎え入れます。ここで「立っている」時間がありますが、ただ突っ立っているのではありません。
- 不審な荷物が放置されていないか?
- 体調が悪そうな人はいないか?
- お困りのお客様に声をかけられないか? 常に周囲にアンテナを張る「動的な待機」なのです。
【13:00】 館内巡回
1時間に1回程度、決められたルートを歩いて点検します。 「火の元はないか」「トイレに不審物は落ちていないか」「非常口の前に荷物が置かれていないか」。2,000歩〜5,000歩ほど歩くこともあり、意外と運動量があります。
【18:00】 閉館作業・施錠
夜間の警備に切り替わります。すべての窓や扉がロックされているか、指差し確認で一部屋ずつチェック。この「地味な確認」が大きな事故を防ぎます。
【22:00〜02:00】 仮眠・休憩
24時間勤務の場合、4〜8時間の仮眠・休憩があります。交代で仮眠室に入り、体を休めます。
【08:00】 最終点検・清掃
翌朝のスタッフが来る前に、異常がないか最終チェック。報告書を作成して業務終了です。
2. 交通誘導警備の1日(日勤の場合)
工事現場や駐車場で車を誘導する「交通誘導」。こちらは、常に状況が変わるため「立っているだけ」でいられる瞬間はほとんどありません。
【08:00】 現地集合・打ち合わせ
工事の責任者と「今日はどこまで掘削するか」「ダンプカーが何台来るか」を共有します。
【09:00】 誘導開始
「片側交互通行」など、旗や誘導灯を使って車をさばきます。 実は、ただ振っているだけではありません。ドライバーの目を見て、丁寧な合図を送ることで、事故やイライラを未然に防いでいます。
【12:00】 お昼休憩
現場近くのコンビニや車内で休憩。体を動かす仕事なので、しっかり食べて水分補給をすることが鉄則です。
【13:00】 午後の誘導
午後はダンプの出入りが増えるなど、現場が慌ただしくなります。歩行者の安全を第一に考え、自転車や高齢者の方には特に気を配ります。
【16:30】 片付け・業務終了
工事が終わるタイミングでカラーコーンを片付けます。予定より早く終わっても、日給が全額保証される現場が多いのも、この仕事の魅力です。
3. 「立っているだけ」に見えて、実はやっていること
世間のイメージと現場のリアルの差は、どこにあるのでしょうか。ベテラン警備員は、立っている間に以下の3つを実践しています。
① 異常の「予兆」を探している
「あそこの照明がチカチカしている(=故障の前触れ)」「あの車の停め方が不自然だ」など、五感を使って違和感を探しています。
② 次の動きをシミュレーションしている
「もし今、ここで火災が起きたら?」「急に救急車が来たら、どこを通すべきか?」と、常に最悪の事態を想定して頭を動かしています。
③ 「抑止力」としての存在感
警備員が正しく立っているだけで、万引きや不法侵入などの犯罪を思いとどまらせる効果があります。この「何事も起きさせない」ことこそが、究極の仕事なのです。
4. 警備員の1日を乗り切るコツ
未経験者が「1日の流れ」をスムーズにこなすためのポイントは2つです。
- 足のケアを怠らない: 良い中敷き(インソール)を使い、休憩中は足を高くして休む。これだけで疲労感が全く違います。
- 時間を区切って考える: 「次の休憩まであと1時間」と短距離走を繰り返す感覚で挑むと、精神的に楽になります。
まとめ:警備員は「安全のクリエイター」
警備員の1日は、単なる時間の切り売りではありません。「何も起きなかった平和な1日」を自らの手で作り出す、非常にクリエイティブで責任感のある仕事です。
「立っているだけ」に見えるその姿は、実は周囲に安心感を与えるための「プロの佇まい」。
この記事を読んで、少しでも警備員の仕事のイメージが具体化したなら、ぜひ一度、その扉を叩いてみてください。あなたの「見守る力」が、誰かの安心を支える大きな力になります。

